物理基礎 + 物理 落下運動 落下運動 ❶ 重力加速度空気抵抗が無視できれば, 物体はその質量に関係なく, 同じ加速度で落下する * 地上付近で, 物体が重力のみを受けて落下するときの加速度を重力加速度という 重力加速度は鉛直下向きで, その大きさは記号 で表され,9.8m/s で一定である 重力加速度の大きさ =9.8 m/s ❷ 自由落下初速度 0 で落下する物体の運動 ❸ 鉛直投げおろし初速度 v で, 鉛直下向きに投げおろされた物体の運動 ❹ 鉛直投げ上げ初速度 v で, 鉛直上向きに投げ上げられた物体の運動 軸の向き 加速度 速度 位置 v の関係式 自由落下 下向きが正 v=t = t v = 鉛直投げおろし 下向きが正 v=v 0 +t =v 0 t+ t v v 0 = 鉛直投げ上げ 上向きが正 v=v 0 t =v 0 t t v v 0 = 放物運動 ❶ 水平投射初速度 v m/s で水平に投げ出された物体の運動は, 水平方向と鉛直方向に分けて考えることができる 水平方向 速度 v 0 m/s の等速直線運動( 等速度運動 ) 鉛直方向 自由落下と同じ運動 速度の 成分 v m/s, 成分 v m/s, 位置の 座標, 座標は, それぞれ次のように表される v =v 0 =v 0 t v =t 3 = t 4 軌道を表す式 : = v 0 5 * 本書では, 特にことわらない限り, 物体が受ける空気抵抗を無視して考える
. 落下運動 5 ❷ 斜方投射水平から角度 θ 上向きに, 初速度 v m/s で投げ出された物体の運動は, 水平方向と鉛直方向に分けて考えることができる 水平方向 速度 v 0 cosθ m/s の等速直線運動( 等速度運動 ) 鉛直方向 初速度 v 0 sinθ m/s の鉛直投げ上げと同じ運動 速度の 成分 v m/s, 成分 v m/s, 位置の 座標, 座標は, それぞれ次のように表される v =v 0 cosθ 6 =v 0 cosθ t 7 第 章 力学 v =v 0 sinθ t 8 =v 0 sinθ t t 9 軌道を表す式 : =tanθ v 0 cos θ 0 重力加速度の大きさを 9.8m/s として, 次の各問に答えよ 小球を自由落下させた.0s 後の速さと落下距離を求めよ 小球を速さ 0 m/s で鉛直下向きに投げおろした.0s 後の速さと落下距離を求めよ 小球を鉛直上向きに速さ 9.8m/s で投げ上げたとき, 最高点に達するのは何 s 後か また, 最高点の高さはいくらか 小球を速さ 5.0 m/s で水平方向に投げた.0s 後の小球の速度の水平成分の大きさと, 鉛直成分の大きさはそれぞれいくらか 図のように, 小球を水平から 30 上向きに速さ 40 m/s で打ち上げた 最高点での速度の水平成分の大きさと, 鉛直成分の大きさはそれぞれいくらか Ans. 9.8m/s,4.9m 30 m/s,40 m.0 s 後,4.9 m 5.0 m/s,9.8 m/s 35m/s,0m/s
6 章 力学 基本例題 4 自由落下 基本問題 8 9 30 3 3 橋の上から小球を静かに落としたところ.0 s 後に水面 に達した 重力加速度の大きさを 9.8 m/s として 次の各 問に答えよ 水面から橋までの高さはいくらか () 水面に達する直前の速さはいくらか 橋の高さの中央を通過するときの速さはいくらか 小球を落とした位置を原点とし 鉛 直下向きに 軸をとり 自由落下の公式を用いる 自由落下をする物体の速さは 時間に比例して大 時間 t が与えられていないので v = の 式を用いる v= きくなるが 距離に比例しないことに注意する t=.0 s で水面に達するので 9.6 = 9.8 4 m/s 9.8.0 =9.6 m 0 m () t=.0 s のときの速さは v=t から v=9.8.0=9.6 m/s 0 m/s 基本例題 5 9.8 =9.8 =9.8.4=3.8 m/s = t から = ①問題文の 静かに落とした とは 初速度 0 で落下させたという意味である ②ルートの計算では ルートの中にある数値を 乗の積に整理できる場合がある 鉛直投げ上げ 基本問題 34 35 36 37 ある高さのビルの屋上から 鉛直上向きに速さ 9.8 m/s で小球を 投げ上げたところ 3.0 s 後に地面に達した 重力加速度の大きさを 9.8 m/s として 次の各問に答えよ 小球を投げ上げてから最高点に達するまでの時間と 屋上か ら最高点までの高さを求めよ () 小球が地面に達する直前の速さを求めよ 地面からのビルの高さを求めよ ビルの屋上を原点とし 鉛直上向き に 軸をとって 鉛直投げ上げの公式を用いる 投げ上げられた小球が最高点に達するとき その 速度は 0 となる 速度が 0 となるときが最高点 になるので 求める時間 t s は v=v t から 0=9.8 9.8 t t=.0 s 求める高さを m とすると =v t t から =9.8.0 9.8.0 =4.9 m () 求める速さは 投げ上げてから 3.0 s 後の速 さである v=v t から v=9.8 9.8 3.0= 9.6 m/s 0 m/s 負の符号は 速度が鉛直下向きであることを表 している 求める高さは 投げ上げてから 3.0 s 後の 座標の大きさである =v t =9.8 3.0 t から 9.8 3.0 = 4.7 m これは 屋上を原点としたときの地面の 座標 である したがって ビルの高さは5 m 軸の原点を地面にとるとは限らな い 屋上を原点にとって 鉛直上向きを正とし ているので 地面の座標は負の値で表される
2. 落下運動 基本例題 6 水平投射 7 基本問題 39 高さ9.6 m のビルの屋上から 小球を水平に速 第 章 さ 4.7 m/s で投げ出した 重力加速度の大きさ を 9.8 m/s として 次の各問に答えよ 投げ出してから 地面に達するまでの時間 力 学 を求めよ () 小球は ビルの前方何mの地面に達するか 地面に達する直前の小球の速さを求めよ 投げ出した位置を原点とし 水平右 向きに 軸 鉛直下向きに 軸をとる 小球の運 動は 方向では等速直線運動 方向では自由 落下と同じ運動をする () 地面に達するまで 小球は 水平方向に速さ 4.7 m/s の等速直線運動をする =v t=4.7.0=9.4 m 地面の 座標は9.6 m である 9.8 t v =t=9.8.0=9.6 m/s 小球の速さ v m/s は 水平方向と鉛直方向の 速度を合成し その大きさとして求められる v= v +v = 4.7 +9.6 から = t を用いて 9.6= t =4.0 = 4.9 3 + 4.9 4 =4.9 3 +4 =4.9 5=4.5 m/s 5 m/s t=±.0 s t>0 な の で t=.0 s は 解 答 に適さない したがって.0 s 基本例題 7 9 m 鉛直方向の速度の成分 v は 斜方投射 基本問題 40 4 水平な地面から 水平とのなす角が30 の向きに 速 さ 0 m/s で小球を投げ上げた 図のように 軸 軸をとり 重力加速度の大きさを 9.8 m/s として 次 の各問に答えよ 投げ上げてから 0.0 s 後の速度の 成分 成分と 位置の 座標 座標を求めよ () 投げ上げてから最高点に達するまでの時間を求めよ 地面に達したときの水平到達距離を求めよ 小球は 方向には速さ0 cos 30 m/s の等速直線運動をし 方向には初速度 0 sin30 m/s の鉛直投げ上げと同じ運動をする 最高点に達したとき 小球の速度の鉛直成分は 0 であり 投げ上げてから地面に達するまでの時間 は 最高点に達するまでの時間の 倍となる 速度の 成分 成分は 3 v =0 cos30 =0 =0 3 =0.73=7.3 m/s 7 m/s v =v sinθ t=0 sin30 9.8 0.0 =0.96=8.04 m/s 8.0 m/s 位置の 座標 座標は =v t=7.3 0.0=3.46 m 3.5 m =v sinθ t t =0sin30 0.0 9.8 0.0 =.80 m.8 m () 求める時間は v =0 となるときであり v =v sinθ t から 0=0 sin30 9.8 t t=.0 s.0 s 水平方向には等速直線運動をし 地面に達 するまでに()で求めた時間の 倍かかるので =v t=7.3.0 =35. m 35 m
8 章力学 8. 自由落下 ビルの屋上から小球を静かに落としたところ,4.0s 後に地面に達した ビルの高さはいくらか ただし, 重力加速度の大きさを 9.8m/s とする 例題 4 9. 自由落下 高さ 44.m のビルの屋上から, 小球を自由落下させた 地面に達するまでの時間と, 地面に達する直前の小球の速さを求めよ ただし, 重力加速度の大きさを 9.8m/s とする 例題 4 30. 自由落下の速さ 高さ 9.6 m のビルの屋上から, 小球を静かに落下させた このとき, 地面に達する直前の小球の速さはいくらか ただし, 重力加速度の大きさを 9.8 m/s とする 例題 4 3. 自由落下に要する時間 小球を h m だけ自由落下させた 重力加速度の大きさを m/s とし, 小球が落下するのに要する時間について, 次の各問に答えよ 小球が h m を落下するのに要する時間はいくらか () 小球が前半の h m を落下するのに要する時間はいくらか 小球が後半の h m を落下するのに要する時間はいくらか 例題 4 3. 雨滴の落下 雨は, 空気抵抗の影響を受け, 地上に達したときにそれほど速くはなっていない 高さ.0 0 m の雨雲から, 雨滴が自由落下を始めたとする もし空気抵抗がなければ, 地上に達する直前の速さはいくらになっているか 重力加速度の大きさを 9.8 m/s として求めよ 例題 4 v = の公式を用いる 33. 鉛直投げおろし 高さ 39. mのビルの屋上から, 小球を初速度 9.8m/sで鉛直下向きに投げおろした 重力加速度の大きさを 9.8 m/s として, 次の各問に答えよ 小球が地面に達するのは何 s 後か () 小球が地面に達する直前の速さを求めよ 小球がビルの中央を通過するときの速さを求めよ 34. 鉛直投げ上げ 地面から, 鉛直上向きに速さ v で小球を投げ上げた 地上からの高さ h の点を通過するとき, 小球の速さはいくらか ただし, 重力加速度の大きさを とする 例題 5
. 落下運動 9 35. 鉛直投げ上げ 地面から, 速さ 9.6m/s で鉛直上向きに小球を 投げ上げた 重力加速度の大きさを 9.8m/s とする 地上 4.7 m の点を小球が通り過ぎるのは何 s 後か () 小球が最高点に達するまでの時間は何 s か 最高点の高さは何 mか (4) 小球が再び地面に落ちてくるまでの時間と, そのときの速度を それぞれ求めよ 例題 5 () 最高点では速度が 0 となる 第 章 力学 36. 鉛直投げ上げ 海面からの高さが 9.4mの位置から, 小球を初速度 4.5m/s で鉛 直上向きに投げ上げた 重力加速度の大きさを 9.8m/s とする 小球を投げ上げてから, 海に落ちるまでの時間はいくらか () 小球が海面に達する直前の速さはいくらか 海面から最高点までの高さはいくらか 例題 5 37. 鉛直投げ上げの v t グラフ 図は, 地面から速さ v m/s で鉛直上向きに投げ上げた小球の, 速度 v m/s と 時刻 t s との関係を表している 時刻 0 s のときに投げ上げたものとして, 鉛直上向きを正とする 次の各問に答えよ ただし, 重力加速度の大きさを 9.8m/s とする 小球が最高点に達する時刻を求めよ () 小球の初速度を求めよ 小球が達する最高点の高さを求めよ (4) 小球の地面からの高さを m とし,t=0 3.0s の間の t グラフを描け 例題 5 38. 気球からの落下 速さ 4.9m/s で上昇している気球から, 小球を静かに落下させたところ,4.0 s 後に地面に到達した 小球をはなした位置の地面からの高さはいくらか ただし, 重力加速度の大きさを 9.8m/s とする 静かにはなした直後の小球は, 地面から見たとき, 気球の速度と同じ速度で運動している 39. 水平投射 高さ 78.4m のがけから水平方向に投げ出された小球が, 投げ出された地点の真下から前方 40 m の海面に落ちた 重力加速度の大きさを 9.8 m/s として, 次の各問に答えよ 海面に達するまでの時間を求めよ () 初速度の大きさは何 m/s か 海面に達したときの速度と水平方向とのなす角を θ とするとき,tanθ の値を求めよ 例題 6