反応度変化・零出力伝達関数

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第 41 巻 1 号 宮崎県農業気象速報 平成 31 年 1 月上旬 気象概況 宮崎地方気象台平成 30 年 1 月 15 日 この期間は 高気圧に覆われて晴れた日と 気圧の谷や寒気の影響を受けて曇りや雨の日が短い周期で経過し 少雨だった 県内各地の旬平均気温は 平年差 0.0 ~+1.7 の平年並



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平成28年度 看護学会集録(表紙)

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2013 年 7 月 25 日筑波大学 2013 年度有機合成化学特論 分子軌道理論を用いた有機化学反応の考察 (33) OOrrggaanniicc CChheemmiiccaall RReeaaccttiioonnss iinnvveessttiiggaatteedd bbyy MMoollee

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Transcription:

反応度変化 零出力伝達関数

反応度変化 原子炉の出力の時間的な挙動は 中性子密度の時間的な変化に比例する その結果 原子炉の出力変化は 反応度の変化によって引き起こされる 実際の反応度に変化を及ぼす因子 : 原子炉内での温度変化 圧力変化 密度 ( ボイド ) 変化 形状変化 組成変化等 多くの場合 先ず温度に変化がもたらされ その影響を受け他の因子が変化する そのような場合 結果としてもたらされる圧力や密度の変化による反応度への効果は 温度変化に伴う影響の一部に含めて考えてよい

反応度変化の要因 原子炉内の温度は さまざまな原因によって変化する 例えば 局所的に冷却材流路が閉塞することや冷却材ポンプの異常により原子炉全体の流量が変ることによって 熱発生と熱除去のバランスが崩れ 原子炉の温度が変る また 例えば制御棒の引き抜きにより増倍率が増し その結果原子炉出力が増し これが温度上昇をもたらすこともある 重要なことは このような温度変化がどのような反応度 ( 増倍率 ) 変化をもたらすのか その反応度が正になるのか 負になるのか ( 増倍率を上げるのか 下げるのか ) である

正の反応度効果 原子炉の温度が上昇したときに 増倍率が上がるとき これを温度上昇は正の反応度効果を持つと言う 温度上昇が正の反応度を持つ場合 これが更に反応度の上昇と原子炉の出力上昇を招き さらにその出力上昇により温度上昇 そして再度正の反応度投入 --- のように正のフィードバックが起こるので 原子炉の出力は限りなく増加することになる このような正の反応度効果を持つことは 正の反応度係数を持つ ( あるいは反応度係数が正である ) などとも表現され 温度の場合には 正の温度係数を持つ ( あるいは温度係数が正である ) という

負の反応度 温度係数が負であれば 何らかの原因で温度が上昇したとすると それによって負の反応度が投入されるため 原子炉の出力が下がり 温度を下げること働く すなわち負のフィードバックによって やがて 温度および出力はある一定の温度 出力 ( 初めに与えられた反応度に対応する温度 出力 ) に落ち着くことになる つまり 負の温度係数を持つ原子炉は はじめの出力変化によって温度が上昇あるいは下降した時にも 原子炉を一定の出力 温度に落ち着かせる能力を有し 自己制御性を持つこととなる つまり負の温度係数は原子炉を安定化させるという意味で望ましい特性である

軽水炉の固有安全性 ( 自己制御性 )

温度係数の定性的な理解 反応度の定義式 : ( 1 ) ρ k 1 1 k k これを温度 Tで微分して k 1なのでk 2 kとして良いことを用いると 原子炉の温度係数 dρ/dtは dρ 1 dk 1 dt 2 k dt k dk dt 6 因子公式において P FNL P TNL P NL と置くと k k P NL 両辺の対数を取って微分することにより 1 dk 1 k dt k dρ 1 dt k dk 1 dt P dk 1 dt P NL NL dp NL dt dp NL dt

原子炉の温度係数 4 因子公式より を用いると k の項について以下の式が導ける ( 上と同じように両辺の対数を取って微分する ) 1 k dk dt 1 dε ε dt 1 d p p dt すなわち 原子炉の温度係数は各因子の温度係数の和として与えられることが分かる 反応度変化としては k 1 f d f dt ε p f η 1 dη η dt ρ 1 dk 1 dε 1 d p 1 d f 1 dη T k dt ε dt p dt f dt η dt α( T ) αt ( ε ) αt ( p ) αt ( f ) αt ( η )

体系から逃れる確率 P NL 温度が上がると減速材 ( 冷却材 ) の密度が下がり拡散係数が大きくなり 中性子の洩れが増す ( 中性子が洩れない確率が減る ) その結果 dp NL /dt<である すなわちP NL の温度係数は負となる しかし 実際の大型原子炉では もともとP NL 1なのでこの効果は小さく dp NL /dt~であって 原子炉全体の温度係数には殆ど寄与しないと考えてよい

再生率 η 高速核分裂係数 ε 共鳴を逃れる確率 p 温度による ε の変化は小さく dε/dt~ である ε は 実際の原子炉の温度係数には殆ど寄与しない ηの温度変化も 235 Uや 239 Puを燃料とする原子炉では小さく dη/dt~であると考えてよい ( 実際にはごく小さな負の値である ) 従って ηも実際の原子炉の温度係数には殆ど寄与しない 燃料温度が上昇すると ドップラー効果により共鳴吸吸収 の増加を引き起こす 従って d/dt> であり dp/dt<となる 典型的な値としては d/dt~1-4 /Kであり dρ/dt~ 1-5 /Kである

断面積のエネルギー変化 ー質量の大きな核 - 入射中性子エネルギーに対する 235 U の核分裂断面積の変化 熱中性子エネルギー.25eV 即発中性子の平均エネルギー 2MeV

熱中性子利用率 f (i) 均質炉 : N M /N F は温度が変っても変化しないこと および多くの場合 燃料 減速材ともに断面積はほぼ 1/v 特性を示すことから 結果として f は温度に殆ど依存しない すなわち df/dt~ である (ii) 非均質炉 : 減速材中と燃料中の中性子束の比 M / F は 一般に 燃料の中性子吸収効果のため減速材中より低下しているので M / F >1 である この M / F は 温度が上がると燃料中の 1/v 吸収体での中性子の吸収が減少するので M / F が小さくなる 結果として f は増加する すなわち df/dt> となる F M M F F M M F F F F N N N N N f σ σ σ σ σ σ F M M M F F F F M M M F F F F F F V V V V V V f

原子炉の温度係数 反応度変化 : ρ 1 dk 1 dε 1 d p 1 d f 1 dη T k dt ε dt p dt f dt η dt α(t ) α ( ε ) α ( p ) α ( f ) α ( η ) T T T T α(t ) α T ( ε ) α T ( p ) α T ( f ) α T ( η ) ( 正負 ) 大小 (/-) 小 (-) 大 ドップラー効果 () 小 (/-) 小 共鳴吸収 P NL

原子炉の動特性応答 運転中の原子炉には さまざまな形で外乱が加えられる 原子炉を運転 制御するために行われる操作も 言わば原子炉への一種の外乱である それらの外乱は 直接あるいは間接に反応度に影響を及ぼし 原子炉の出力や温度 圧力等を変化させる この結果 原子炉は初期とは異なった状態になる 外乱に対して 原子炉がどのように変化 ( 応答 ) するかは 当然ながら原子炉の運転制御上極めて重要である

原子炉の安定性 外乱投入後の原子炉の最終的な状態に着目する 定常状態にある原子炉に 何らかの反応度の変化が与えられたとき その原子炉の出力が過渡的な振動を起こさずに ( 振動が起こったとしてもその振幅が小さくやがて消えて ) 別の定常状態へ落ち着くかどうを 原子炉の安定性 と呼んでいる

システム解析 まず 原子炉の反応度投入要因 ( コンポーネント ) を分析し それらの要因を書き込んだ原子炉システムのブロック図を作る 次いで そのシステムに含まれる各コンポーネントごとに 入力された小さな変化量に対する応答 ( 入力変化量に対する出力の変化量を求める ) を考察し それを定式化する 一般的な物理システムの応答は 定常状態にあるシステムに何らかの小さな外乱が与えられたとき そのシステムがどのように振る舞うかを記述した関数として定義される このコンポ - ネットの応答を定式化したものを応答関数と呼ぶ

応答関数 応答関数は その内容によってさまざまな形に定式化されることなるが 通常はある変化量 ( 入力量 ) に対する別の量の変化量 ( 出力量 ) を与える関数となることから 微分方程式の形に定式化されることが多い たとえば原子炉の応答関数は 与えられた反応度変化量に対応する原子炉出力変化量を与える応答関数で 1 点炉動特性方程式 (7 連の微分方程式 ) そのものである

応答関数を用いた安定判別 システムに含まれるすべてのコンポーネントについて応答関数が決められると システム解析では ブロック図に示されたコンポーネントに沿って順に変化量の伝播を追いかける その結果 各パラメータ ( 例えば 反応度 原子炉出力 冷却材温度 冷却材温度反応度フィードバック ) の変化が得られ それらパラメータの変化を整理することにより 原子炉全体としての応答を知ることができる ひいてはそれらが振動するか 発散するか最終的に安定な状態に落ち着くかなどの原子炉の安定性を判別することができる

ラプラス変換と伝達関数 ラプラス変換 : s L{ f () } f ( ) e d F ( s) d n() d n( ) s L e d d d s s () e s n() e d s F() s n( ) ラプラス変換を用いて得られる伝達関数 ( ) ( 出力関数のラプラス変換 ) 伝達関数 ( 入力関数のラプラス変換 ) 単一のコンポーネントの入力関数および出力関数のラプラス変換を r(s) および e (s) で表すと 伝達関数 G(s) は e () ( s) G s r () s n

フィードバックのあるシステム () s () s r H () s すなわち c r ( s) r( s) r ( s) r( s) H ( s) c ( s) r G () s c r () s () s r c ( s) () s H () s c () s ( s) r( s) ( 1 G ( s) H ( s) ) c ( s) c () () s s r() s G () ( s) s 1 G () s H () s G Y Y () s H () s c () s r(s) r (s) c(s) r (s) G (s) H (s) フィードバックのあるシステムの伝達関数

原子炉の伝達係数 ( ゼロ出力伝達関 数 ) 遅発中性子を1 組に近似した動特性方程式 d n( ) ( δk( ) β ) n( ) C( ) d Λ d C ( ) n( ) C( ) d β Λ この式において n() は中性子密度 C() は先行核密度 βは遅発中性子割合 は先行核壊変定数 Λは中性子世代時間である この二つの式からC() の項を消去すると 同時に, βn()/λ も消去されて d n d ( ) δk ( ) Λ n ( ) d C ( ) d

伝達関数の導出 中性子密度と先行核密度の変化も k と同じく 1 次の微小項のみで表せると近似する ( ) n n( ) n δ ( ) C C ( ) C δ n およびC は定数である 上の2 式を動特性方程式に代入し 2 次の微小項を無視すると d ( δn() ) δk ( ) d ( δc ( ) ) d d δc d ( () ) n Λ β δn Λ d () δc ()

ゼロ出力伝達関数 以上の二つの式をそれぞれラプラス変換すると n sδn() s δk () s s δc () s Λ β sδc () s δn() s δc () s Λ 以上の式より β δc () s δn() s δ δk () s () s ( s ) Λ ( s ) s Λ n β s Λ n 原子炉出力のラプラス変換反応度のラプラス変換 上式が 原子炉出力 ( 中性子密度 ) を与える原子炉の伝達関数 ( 反応度が微小であると仮定した時の ) となる 原子炉出力が小さい時には温度等に変化がなく結果的にフィードバックがないと仮定できることから フィードバックを考慮していない伝達関数を原子炉のゼロ出力伝達関数 (zero power rnsfer funcion) と呼ぶ

ゼロ出力伝達関数の周波数領域表示 ゼロ出力伝達関数において s に iω (iは虚数単位 ) を代入 ( iω ) iω Λ ( iω ) n G iω β Λ 一般に原子炉では中性子世代時間が非常に小さいことから β/λ となり 分母のを無視することができるので ( iω ) ( iω ) iω Λ n β iω Λ G

235 U の遅発中性子割合および Λ/β1 4 秒を用いた時のボード線図を示す なお ここでの振幅は (β/n ) G( iω) としてプロットしたものである 左図には 遅発中性子 6 群として取り扱った時の値もプロットしているが 1 群と 6 群間の差はそう大きくない 遅発中性子を 6 組とした時のゼロ出力伝達関数 : G ( iω ) iω Λ 6 i 1 n iω β i iω i

ボード線図 周波数 ω が小さい領域では振幅が大きく 周波数が大きな領域では振幅が小さくなっていることが分る このことから 大きな周波数 ω で振動する ( すなわち 早く振動する ) 反応度変化に対して 原子炉の出力はほとんど変化しないが 逆に小さな周波数 ( すなわち ゆっくりと振動する ) 反応度変化に対して原子炉出力には大きな変化を生じることが分る そして ω のとき G( iω) となることから 極めてゆっくりとした反応度変化に対して 原子炉本体 ( フィードバックのない原子炉システム ) は不安定なシステムであることがわかる

遅発中性子のホールドアップ効果 なお 振幅の図から分かるように ωがω ( 約.1s -1 ) とωβ/Λ( 約 1s -1 ) の間で 振幅 ( 原子炉の出力変動 ) はおおむね一定となる また この領域における原子炉出力の変動は 大きさは変化しないものの遅発中性子の存在によってある程度遅れて現れる この遅れは 遅発中性子によるもので この領域の現象は遅発中性子のホールドアップ効果と言われている

135 e による妨害作用 135 e は熱中性子に対し ほぼ 3.x1 6 バーンという大きな吸収断面積を持ち 核分裂から直接生成される ( 約.3% ) とともに 核分裂で生成される 135 Te 135 から下記のチェーンにそって生成される ( 計約 6.1%) 生成された 135 e はこのチェーンに沿って壊変するとともに 中性子吸収によって 136 e に核変換される 135 β, T 1 2 Te < 1min 135 β, T 6.7 h 135 β, T 9.2h 135 β, 1 2 1 2 e T 2 x 1 1 2 Cs 6 y 135 B ( 安定 )

生成消滅の式 を中性子束 (n cm -2 s -1 ) f を核分裂断面積とする まず 135 に対しては d d () d d () () σ () γ f 142431424314243 135の壊変による消滅 () 中性子吸収による変換消滅 γ f 14243 14243 135の壊変による消滅 一方 135 e に対しては d d 135 β, T 6.7 h 135 β, T 2 9.2h () 1 2 核分裂による生成 1 e 核分裂による生成 () σ () γ () f 14243 144 243 4 14243 14243 e135の壊変中性子吸収に核分裂に 135の壊変による消滅よる変換消滅よる生成による生成

平衡状態 原子炉をある程度長期間運転すると 135 と 135 e の濃度は平衡に達する その時の 平衡状態においては d/dd/d である 135 の平衡状態での濃度を と書くと また 135 e に対しての平衡状態の濃度を と書くと f γ f γ σ ( ) σ γ γ σ γ γ σ γ f f f f ( ) ( ) ( ) f f P σ γ γ σ σ γ γ σ σ Δρ

原子炉停止後の 135 e 濃度 原子炉運転を停止すると 135 e の濃度は平衡状態から変化する 135 e 自身が不安定核であるので 停止後十分時間が経つと 最終的に 135 e の濃度はゼロとなる しかし 135 e の場合 親核の 135 の半減期が 135 e の半減期より短い ( すなわち > ) ことから 単調にゼロにならずに 135 e 濃度がいったん上昇する特徴がある

原子炉停止後の 135 濃度 原子炉停止後の 135 濃度は 生成消滅の式において 中性子束をゼロとして d d () () この式を 初期状態の 135 濃度を として解くと () exp( )

原子炉停止後の 135 e 濃度 生成消滅の式において として この微分方程式を解くと () () () () ( ) exp d d () ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) [ ] ( ) ( ) ( ) ( ) exp exp exp exp exp d exp exp exp

原子炉停止後の 135 e による反応度損失 () ( ) P σ ρ Δ () ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) exp exp exp 1 σ γ γ σ γ ν Δρ

135 e による妨害作用 135 e 濃度は一度上昇し 1 時間程度経過した後ピークに至り その後 数 1 時間かけてゼロに向かって減少して行く 毒作用の最大値 すなわちピーク時の反応度は 中性子束が 1 13 (cm -2 s -1 ) 以下のときには非常に小さいが 中性子束が大きくなると反応度損失も大きくなり 中性子束が 2x1 14 (cm -2 s -1 ) になるとピーク時の反応度損失が -.33 にも達する この場合 原子炉の制御系が.1(1%) の余剰反応度を持っていたとしても 原子炉停止後 1 時間以内に原子炉を再起動しない限り 3 時間以上にわたり原子炉を再起動できないことになる

原子炉停止時の e 妨害作用の時間変化

チエルノブイリ事故の経過 (2) このため, 予定の 7 万 kw 以上に戻すため, 制御棒をさらに引き抜いた 4 月 26 日 ( 土 )1 時 しかし炉内に蓄積されたキセノンの妨害作用により中性子が吸収され,2 万 kw に戻すのがやっとであった ( 低出力運転の禁止規則違反 ) 原子炉の運転を妨害 中性子を吸収