.GP 成長率と その要因分解 経済統計分析 (205 年度春学期 )
GP 成長率とその要因分解 ( 経済理論との関連 ) 名目と実質 物価との関係 GP の三面等価 消費理論 ( 恒常所得仮説 予備的貯蓄等 ) 投資理論 ( 加速度原理等 ) 財政運営原理 ( ケインズ政策 vs 財政再建 ) ( 統計分析手法 ) 成長率 ( 年次データ 四半期データ ( 前年同期比と前期比年率 )) 構成比 ( シェア ) 成長率の要因分解 2
名目 GP と実質 GP ( 兆円 ) 50 名目 GP 実質 GP 520 500 80 60 0 20 00 名目 GP 実質 GP 995 998 200 200 2007 200 203 ( 兆円 ) (2005 年価格 兆円 ) 物価 ( デフレータ ) (2005 年 00) 995 50.7 55.5 0.2 996 5.9 67.3 09.5 997 523.2 7.8 0.2 998 52. 65.3 0. 999 50.9 6. 08.7 2000 509.9 7.8 07. 200 505.5 76.5 06. 2002 99. 77.9 0. 2003 98.9 86.0 02.7 200 503.7 97. 0.3 2005 503.9 503.9 00.0 2006 506.7 52.5 98.9 2007 53.0 523.7 98.0 2008 50.2 58.2 96.7 2009 7. 89.6 96.2 200 82. 52. 9. 20 7.3 50.0 92. 202 75. 59.0 9.5 203 80. 527. 9.0 20 88.0 527.2 92.6 ( データ ) 内閣府 国民経済計算 3
名目 GP と実質 GP2 名目 : 各時点の価格による GP 物価変動の影響を含む GP 実質 : 基準年 (ex.2005 年 ) 時点の価格による GP 2005 年から物価が変化しなかったとした場合の GP 物価変動の影響を取り除いた GP 物価 ( デフレータ ): 基準年の価格 00 として 各時点の価格を指数化 ( 名目 実質 物価の関係 ) 名目 実質 物価 実質 名目 / 物価 物価 名目 / 実質 デフレータ デフレート ( 割り算 ) するもの の意
成長率の計算 名目 GP [ 成長率 ] ( 兆円 ) (%) 200 503.7.0 2005 503.9 0.0 2006 506.7 0.6 2007 53.0.2 2008 50.2 2.3 2009 7. 6.0 200 82. 2. 20 7.3 2.3 202 75. 0.8 203 80.. 203 年の名目 GP 80. 兆円 20 年 88.0 兆円 20 年の名目 GP 成長率は? 88.0 80. 80..6% 20 88.0.6 5
6 成長率の計算 2 今期の GP を, 前期の GP を とすると 00%) ( 00%) ( 期の成長率
名目成長率と実質成長率 0.0% 8.0% 名目成長率 実質成長率 6.0%.0% 2.0% 0.0% 8 83 85 87 89 9 93 95 97 99 0 03 05 07 09 3 2.0%.0% 6.0% 8.0% ( データ ) 内閣府 国民経済計算 7
8 名目成長率 実質成長率 物価上昇率の関係名目成長率 実質成長率 物価上昇率 実際のデータで計算して確かめよ ( 参考 ) 数式による確認名目 GP(Y) 実質 GP() 物価 () とすると Y ø ö ç ç è æ @ @ if Y Y Y ) ( ) (
名目成長率の要因分解 ( 実質要因 vs 物価要因 ) 0% 8% 6% % 2% 0% 2% % 6% 8% 物価上昇率実質成長率名目成長率 8 83 85 87 89 9 93 95 97 99 0 03 05 07 09 3 暦年名目成長率実質成長率物価上昇率 誤差 96 2.0% 2.6% 0.6% 0.0% 97 2.2%.6% 0.6% 0.0% 98 2.% 2.0% 0.% 0.0% 99.5% 0.2%.3% 0.0% 00.0% 2.3%.2% 0.0% 0 0.8% 0.%.2% 0.0% 02.3% 0.3%.6% 0.0% 03 0.%.7%.7% 0.0% 0.0% 2.%.% 0.0% 05 0.0%.3%.3% 0.0% 06 0.6%.7%.% 0.0% 07.2% 2.2% 0.9% 0.0% 08 2.3%.0%.3% 0.0% 09 6.0% 5.5% 0.5% 0.0% 0 2.%.7% 2.2% 0.% 2.3% 0.5%.9% 0.0% 2 0.8%.8% 0.9% 0.0% 3.%.6% 0.5% 0.0%.6% 0.0%.7% 0.0% 9 ( データ ) 内閣府 国民経済計算
0 要因分解の計算方法 ( 掛け算 割り算の場合 ) ( 例 ) 名目 GP 実質 GP 物価 名目成長率 実質成長率 物価上昇率 輸出額 ( 円 ) 輸出量 輸出価格 ( ドル ) 為替レート 輸出額伸び率 輸出量伸び率 ドル建価格変化率 為替変化率 労働生産性 生産額 / 雇用者数 労働生産性上昇率 生産伸び率 雇用者数伸び率 / @ Û @ Û
GP と三面等価の法則 三面等価の法則 生産 所得 支出 支出面から見た GP 需要項目別の分解 IS 方程式 Y I G (X M) GP 消費投資 政府支出 輸出 輸入 民需公需外需
GP の需要項目別構成比 ( シェア ) 20 年 ( 兆円 ) 構成比 (%) 名目 GP 88.0 00.0 民間消費 295.8 60.6 民需 377.7 ( 兆円 ) 住宅投資 5.0 3. 77. (%) 設備投資 69..2 在庫投資 2.6 0.5 政府消費 00.8 20.7 公需 25. ( 兆円 ) 政府投資 2.6 5.0 25.7 (%) 政府在庫 0. 0.0 輸出 86.3 7.7 外需 5.2 ( 兆円 ) 輸入 0.5 20.8 3. (%) 2
構成比 ( シェア ) の計算 n 個の要素 {x, x 2,, x n } のうち j 番目の要素 x j が 全体 X に占める割合 ( 構成比 シェア ) は x j のシェア x n j X x å i j x i ( 00%) ( 00%) 3
GP の需要項目別構成比の推移 00% 90% 80% 70% 60% 50% 0% 30% 20% 0% 純輸出政府投資 政府消費 設備投資 住宅投資 民間消費 政府消費, 00.8, 9.3% 在庫投資, 2.6, 0.5% 政府在庫, 0., 0.0% 政府投資, 2.6,.7% 設備投資, 69., 3.3% 住宅投資, 5.0, 2.9% 20 年 GP 構成比 純輸出, 5.2, 2.9% 民間消費, 295.8, 56.5% 0% 80 82 8 86 88 90 92 9 96 98 00 02 0 06 08 0 2 ( データ ) 内閣府 国民経済計算
GP の需要項目別内訳の推移 GP の成長はどの需要項目が増えたからか? ( 兆円 ) 600 500 00 名目 GP 88.0 政府投資 2.6 政府消費 00.8 設備投資 69. 300 住宅投資 5.0 200 00 民間消費 295.8 0 80 82 8 86 88 90 92 9 96 98 00 02 0 06 08 0 2 ( データ ) 内閣府 国民経済計算 純輸出 5.2 5
主な需要項目別の成長率 民需 20% 5% 実質 GP 民間消費住宅投資設備投資 0% 5% 0% 5% 0% 5% 20% 8 82 83 8 85 86 87 88 89 90 9 92 93 9 95 96 97 98 99 00 0 02 03 0 05 06 07 08 09 0 2 3 ( データ ) 内閣府 国民経済計算 6
主な需要項目別の成長率 2 公需 20% 5% 実質 GP 政府消費 政府投資 0% 5% 0% 5% 0% 5% 20% 8 82 83 8 85 86 87 88 89 90 9 92 93 9 95 96 97 98 99 00 0 02 03 0 05 06 07 08 09 0 2 3 ( データ ) 内閣府 国民経済計算 7
主な需要項目別の成長率 3 外需 20% 5% 0% 5% 0% 5% 0% 5% 20% 実質 GP 輸出輸入 8 82 83 8 85 86 87 88 89 90 9 92 93 9 95 96 97 98 99 00 0 02 03 0 05 06 07 08 09 0 2 3 ( データ ) 内閣府 国民経済計算 8
GP 成長率の要因分解 ( 民公外需別 ) 8.0% 6.0% 外需要因公需要因民需要因実質 GP 成長率.0% 2.0% 0.0% 2.0%.0% 6.0% 8 82 83 8 85 86 87 88 89 90 9 92 93 9 95 96 97 98 99 00 0 02 03 0 05 06 07 08 09 0 2 3 ( データ ) 内閣府 国民経済計算 9
( 参考 )GP 速報記事 日本経済新聞 205.2.6 夕刊 20
GP 成長率の要因分解 ( 民需内訳 ) 8.0% 6.0%.0% 在庫投資要因設備投資要因住宅投資要因民間消費要因実質 GP 成長率民需要因 2.0% 0.0% 2.0%.0% 6.0% 8 82 83 8 85 86 87 88 89 90 9 92 93 9 95 96 97 98 99 00 0 02 03 0 05 06 07 08 09 0 2 3 ( データ ) 内閣府 国民経済計算 2
22 要因分解の計算方法 m m m x x x g g g i i i c c c m x g i c m x g i c m x g i c m x g i c [ 恒等式 ] IS [IS 恒等式 ] 前年の ) 両辺を で割る GP の成長率消費の伸び率消費の GP に占めるシェア投資の伸び率投資のシェア 民需寄与公需寄与外需寄与
23 ( 例 ) 利益 売上高 原価 人件費 売上高 支店の売上高 支店の売上高 支店の売上高要因分解の計算方法 ( 足し算 引き算の場合 ) の成長率 の成長率 のシェア の成長率 のシェア の成長率 のシェア 要因 要因 要因
2 要因分解の計算方法 ( 応用 : 加減乗除混在の場合 ) F E / Û Y Y Y X X X Y X / / ø ö ç ç è æ ø ö ç ç è æ @ F E F F F E E E Y F F E E X F E Y X /, と置くと, @ @ F F E E Y Y X X ( 掛け算 割り算の要因分解 ) を用いて 要因 要因 要因 E 要因 F 要因 ( 足し算 引き算の要因分解 )
成長率と要因分解から見た日本の景気循環の特徴 本格的な景気の回復には民需の回復が必要 消費は景気の変動に対して比較的安定した動き (cf. 恒常所得仮説 ) 景気の変動を抑えるアンカー的役割 ( ただし 98 年や 08~09 年にはマイナスの寄与 (cf. 予備的貯蓄仮説 )) 設備投資は 景気と同方向に激しく変動 (cf. 加速度原理 ) 日本の景気変動の最大の犯人 在庫投資は GP に占めるシェアは極小だが その変動は時に成長率に無視できない影響を与える 公需は 90 年代は比較的景気と反対方向への動き (cf. ケインズ政策 ) 00 年代は若干のマイナス寄与 (cf. 財政再建 ) 外需は 輸入が景気と同方向に動く ( なぜ?) 景気回復のきっかけとはなり得るが持続的回復の要因とはなりにくい 25
GP 成長率 ( 四半期 ): 原系列と季節調整済系列 / 前年同期比と前期比年率 実質 GP 原系列 成長率 ( 前年同期比 ) 季節調整済系列 成長率 ( 前期比年率 ) ( 兆円 ) (%) ( 兆円 ) (%) 20 年 3 月 26.5 0.0% 505.5 7.3% 6 月 22.8.5% 502.8 2.% 79 月 28. 0.5% 55.9 0.8% 02 月 32.3 0.% 56.6 0.6% 202 年 3 月 30.9 3.5% 522..3% 6 月 27. 3.5% 520.3.% 79 月 28.6 0.2% 57.5 2.2% 02 月 32. 0.0% 56.6 0.6% 203 年 3 月 3.5 0.5% 523.7 5.6% 6 月 28.9.% 528.0 3.3% 79 月 3.5 2.2% 529.8.% 02 月 35. 2.3% 528.3.2% 20 年 3 月 3.7 2.% 53.9 5.% 6 月 28.5 0.3% 526. 6.% 79 月 29.7.% 522.6 2.6% 02 月 3.3 0.8% 52.6.5% 26
原系列と季節調整済系列 ( 実質 GP) ( データ ) 内閣府 国民経済計算 27
季節変動の例 チョコレートの消費金額 ( 世帯あたり ),200,000 ( 円 ) 2006 年 2005 年 200 年 2003 年 800 600 00 200 0 月 2 月 3 月 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 0 月 月 2 月 ( データ ) 総務省 家計調査 28
29 前年同期比と前期比年率の計算 前年同期比 ( 四半期データの場合 ) 前期比年率 ( 四半期データの場合 ) 00%) ( 前年同期比 ( 簡略法 ) 前期比年率 00%) ( 00%) ( @ ø ö ç ç è æ ø ö ç ç è æ 00%) ( 前期比
実質 GP 成長率 ( 四半期 ): 前年同期比と前期比年率 2 5.0% 前年同期比 前期比年率 0.0% 5.0% 0.0% 95 96 97 98 99 00 0 02 03 0 05 06 07 08 09 0 2 3 5.0% 0.0% 5.0% ( データ ) 内閣府 国民経済計算 30
前年同期比と前期比年率の使い分け 前年同期比 過去 年間の傾向的 平均的な動きを見る場合に用いる 前期比年率 直近の動きを見る場合に用いる ( 参考 ) 前年同期比と前期比年率の関係 前年同期比 過去 年間の前期比年率の平均 実際のデータで確認せよ 3
需要項目別成長率 ( 前年同期比 ) 民需 20% 0% ( 前年同期比 ) GP 民間消費住宅投資設備投資 0% 0% 20% 30% 95 96 97 98 99 00 0 02 03 0 05 06 07 08 09 0 2 3 ( データ ) 内閣府 国民経済計算 32
需要項目別成長率 ( 前年同期比 )2 公需 ( 前年同期比 ) 20% 0% 0% 0% 20% 30% GP 政府消費政府投資 95 96 97 98 99 00 0 02 03 0 05 06 07 08 09 0 2 3 ( データ ) 内閣府 国民経済計算 33
需要項目別成長率 ( 前年同期比 )3 外需 ( 前年同期比 ) 20% 0% 0% 0% 20% 30% GP 輸出輸入 95 96 97 98 99 00 0 02 03 0 05 06 07 08 09 0 2 3 ( データ ) 内閣府 国民経済計算 3
35 要因分解の計算方法 ( 前年同期比 ) m m m x x x g g g i i i c c c m x g i c m x g i c m x g i c m x g i c ] [ 恒等式 IS [IS 恒等式 ] 前年の ) 両辺を で割る GP の前年同期比成長率消費の前年同期比伸び率消費の GP に占めるシェア 民需寄与公需寄与外需寄与投資の前年同期比伸び率投資の GP に占めるシェア
GP 成長率 ( 前年同期比 ) の要因分解 6% ( 前年同期比 ) % 2% 0% 2% % 6% 8% 外需要因公需要因民需要因 GP 成長率 95 96 97 98 99 00 0 02 03 0 05 06 07 08 09 0 2 3 ( データ ) 内閣府 国民経済計算 36
民需寄与の内訳 6% ( 前年同期比 ) % 2% 0% 2% % 6% 8% 在庫投資要因設備投資要因住宅投資要因民間消費要因 GP 成長率民需要因 95 96 97 98 99 00 0 02 03 0 05 06 07 08 09 0 2 3 ( データ ) 内閣府 国民経済計算 37